◆T-3　Q ：自費診療（保険適用外診療）を歯科医院で勧められる理由は何ですか？

A ：“歯をより長持ちさせるための治療方法ならびにその材料”、これが最近の保険適用外診療の本質と当院では考えています。
「見た目がきれいになるのが保険外診療。」という認識は間違いです。

理由は日本の歯科医療をとりまく歴史や法律が絡んできますので、下記に詳細を記載します。
現在の健康保険制度は第二次世界大戦後すぐ頃の技術、材料がベースとなっています。改定は国の財源をベースに基本的に役人が話し合いのもと行うので、全世界的医療技術の発展のスピードに比べると残念ながら遅いと言わざるを得ません。（これは安全性の評価に時間がかかると言うことではなく、予算をつける算段がなかなか立てられないと言う事です。）
ガラケーと言う言葉が少し前にありましたが、日本の歯科医療は健康保険がベースであったため、ガラパゴス化してしまっている部分があります。但しその救済措置として、保険外診療と保険内診療を混合して良いと言う苦肉の策を打ち出してきたのです。

新しい、より治療精度の高い知識や技術がある歯科医院では“患者さんが望めば”その治療を受けられる、これが保険外診療です。
バブル経済時の歯科技術進歩は“審美歯科（つまり見た目）”に特化していたため、実は「見た目が綺麗＝保険外」と言う先入観はこの時代に成立したものです。
これに対し平成後期から令和現在の歯科技術は“なるべく削らないで歯を保存すること”に特化する様になってきました。単に大きく歯を削って簡単に被せていた時代よりもより“複雑な形態”に、より“精度の高い修復物”を要求される様になったのです。（よくある質問　T-1参照）

故に、現在の保険外診療は
“歯をより長持ちさせるための治療方法ならびにその材料”とするのがわかりやすいかと思います。
（余談ですが…当然見た目も保険診療のものより綺麗です）

多くの歯医者さんで保険外診療の説明をしている理由は
持てる技術の範囲内で全ての治療の選択肢の説明をしないと“説明義務違反になる”と言うコンプライアンス的な意味合いの他、「より良い医療を提供したい。」と言う医療人としての気持ちの表れで有ると考えられます。